さうかと云つて、「今後も御贔屓御引立の程を」と、恐る/\出頭するのも藝人染みてゐて可笑しい。
ま、さう面倒に考へずとも、褒められて嬉しいのは当り前だし、日頃から敬慕してゐる人を訪問するのに何の不思議はないのだから、簡単に飛んで行つて「先生、有難うございます」と云つてしまへば済む訳だのに、そこが私は、たび/\云ふやうに無邪気に出来てゐないもんだから、なか/\ちよつとそんな工合に行かないのである。
それに、何を云ふにも褒められ方が余り仰山で、先生の地位としては思ひ切つた辞句を使つてあるので、それが一層私を臆病にさせてしまつた。