氏はあの通り誰にでも如才がなく、人を外らさぬ方であつたし、われ/\後進を喜ばすことは上手であつたから、私共は氏を「先生」として尊敬しながらも、時にはまるで同輩の如く冗談を云ひ合ひ、随分一緒に悪所通ひなどもしたものだつた。
(氏は此の道ではたび/\後輩にシテヤラレた)想ひ起す、私が始めて後藤末雄に連れられて氏を訪ねた時、小山内氏は二十九歳、私は二十四歳であつた。
当時氏はまだ独身で、月島の海水館と云ふ下宿屋に住んでをられた。
氏はあの通り誰にでも如才がなく、人を外らさぬ方であつたし、われ/\後進を喜ばすことは上手であつたから、私共は氏を「先生」として尊敬しながらも、時にはまるで同輩の如く冗談を云ひ合ひ、随分一緒に悪所通ひなどもしたものだつた。
(氏は此の道ではたび/\後輩にシテヤラレた)想ひ起す、私が始めて後藤末雄に連れられて氏を訪ねた時、小山内氏は二十九歳、私は二十四歳であつた。
当時氏はまだ独身で、月島の海水館と云ふ下宿屋に住んでをられた。