私は、「いや、其処へ行くのは一寸恐いな」と云つて氏と差し向ひの席に掛けた。
そして小山内氏がチクチク刺すやうなことを云ふのを、ぬうツとして聞き流してゐたが、追ひ/\酒が廻つて来て卓上の談話がはずみ出した頃、何の気なしに私が「先生」と呼びかけると、氏は色を作して「君はもう大家ぢやないか、僕のことを先生なんて云ふのは止し給へ」と云つた。
此の一言がカチンと来たので、私は素直に「さうですか」と云つて、その場から先生呼ばゝりを止めにした。
私は、「いや、其処へ行くのは一寸恐いな」と云つて氏と差し向ひの席に掛けた。
そして小山内氏がチクチク刺すやうなことを云ふのを、ぬうツとして聞き流してゐたが、追ひ/\酒が廻つて来て卓上の談話がはずみ出した頃、何の気なしに私が「先生」と呼びかけると、氏は色を作して「君はもう大家ぢやないか、僕のことを先生なんて云ふのは止し給へ」と云つた。
此の一言がカチンと来たので、私は素直に「さうですか」と云つて、その場から先生呼ばゝりを止めにした。