私は、その日の夕刻この春秋さんに案内されて麩屋町の萬養軒と云ふ洋食屋へ連れて行かれ、其処で始めて祇園の藝者と云ふものを見せられたのである。
「若い方のは、今夜都踊に出るとかで、其の支度の儘の艶な頭である。
先づ祇園では十人の指の中へ数へられる一流所の女ださうだが、肌理の細かいのは勿論の事、鼻筋が通つて眼元がぱつちりと冴えて―――唇の薄い、肉附のいゝ美人である。
私は、その日の夕刻この春秋さんに案内されて麩屋町の萬養軒と云ふ洋食屋へ連れて行かれ、其処で始めて祇園の藝者と云ふものを見せられたのである。
「若い方のは、今夜都踊に出るとかで、其の支度の儘の艶な頭である。
先づ祇園では十人の指の中へ数へられる一流所の女ださうだが、肌理の細かいのは勿論の事、鼻筋が通つて眼元がぱつちりと冴えて―――唇の薄い、肉附のいゝ美人である。