「若い方のは、今夜都踊に出るとかで、其の支度の儘の艶な頭である。
先づ祇園では十人の指の中へ数へられる一流所の女ださうだが、肌理の細かいのは勿論の事、鼻筋が通つて眼元がぱつちりと冴えて―――唇の薄い、肉附のいゝ美人である。
外の一人は、黒の縞のお召を着た年増で、此れはなか/\好く喋る」と、「日記」に書いてあるその若い方の藝者の顔は今も尚眼底に残つてゐて、とき/″\想ひ出すことがあるけれども、何と云ふ名の女であつたか「日記」にそれが洩れてゐるのが残念である。
「若い方のは、今夜都踊に出るとかで、其の支度の儘の艶な頭である。
先づ祇園では十人の指の中へ数へられる一流所の女ださうだが、肌理の細かいのは勿論の事、鼻筋が通つて眼元がぱつちりと冴えて―――唇の薄い、肉附のいゝ美人である。
外の一人は、黒の縞のお召を着た年増で、此れはなか/\好く喋る」と、「日記」に書いてあるその若い方の藝者の顔は今も尚眼底に残つてゐて、とき/″\想ひ出すことがあるけれども、何と云ふ名の女であつたか「日記」にそれが洩れてゐるのが残念である。