幹彦君のゐた座敷からは、加茂川を隔てゝ東山の三十六峰を窓外に眺めることが出来、朝な/\川原に千鳥の啼く声が聞けると云ふ場所柄で、恐らくあの辺の都雅な情趣は山陽の住んでゐた頃とさう違つてはゐなかつたであらう。
だが幹彦君も私も飲みたい遊びたい盛りの時代で、そんな景色に感心してゐる風流気などは持ち合はせなかつた。
東京にゐても夕方になるとそは/\して無上に茶屋酒が恋ひしくなると云ふ年頃の二人が、パンの会以来久し振りに旅先で落ち合つたのだから溜らない。
幹彦君のゐた座敷からは、加茂川を隔てゝ東山の三十六峰を窓外に眺めることが出来、朝な/\川原に千鳥の啼く声が聞けると云ふ場所柄で、恐らくあの辺の都雅な情趣は山陽の住んでゐた頃とさう違つてはゐなかつたであらう。
だが幹彦君も私も飲みたい遊びたい盛りの時代で、そんな景色に感心してゐる風流気などは持ち合はせなかつた。
東京にゐても夕方になるとそは/\して無上に茶屋酒が恋ひしくなると云ふ年頃の二人が、パンの会以来久し振りに旅先で落ち合つたのだから溜らない。