その「大友」と云ふのは祇園の新橋にあるお茶屋のことで、お多佳さんはあの時分から彼処の女将であつたのか、それとも当時はまだ妓籍にあつたのかはつきりしないが、この人の噂は京都へ来てから間もなく誰かに聞かされてゐた。
彼女は非常なる才女で文学の嗜みが深く、俳句を巧みにする、先年この人の姉が病死した時の句に、「紫陽花や見る見る変る爪の色」と云ふのがある、以てその才の一端を知るべしと云ふやうな話。
嘗て漱石が虚子と京都に遊んだ時にも大友へ行つてお多佳さんに会つたと云ふ話。
その「大友」と云ふのは祇園の新橋にあるお茶屋のことで、お多佳さんはあの時分から彼処の女将であつたのか、それとも当時はまだ妓籍にあつたのかはつきりしないが、この人の噂は京都へ来てから間もなく誰かに聞かされてゐた。
彼女は非常なる才女で文学の嗜みが深く、俳句を巧みにする、先年この人の姉が病死した時の句に、「紫陽花や見る見る変る爪の色」と云ふのがある、以てその才の一端を知るべしと云ふやうな話。
嘗て漱石が虚子と京都に遊んだ時にも大友へ行つてお多佳さんに会つたと云ふ話。