私は伽羅の香と云ふものをまだ嗅いだことはなかつたが、あの家の玄関を上ると、暗い廊下からたゞよつて来るその不思議な匂を直ぐに感じた。
そして、彼女が始終伽羅を焚いてゐると云ふ話を前に聞いたことがあつたので、成る程、これがその匂かと気が付いた次第であつた。
(これは余談であるが、伽羅の匂と云ふものは、あの伽羅蕗を煮る時の匂に何処か似てゐるやうな気がする。
私は伽羅の香と云ふものをまだ嗅いだことはなかつたが、あの家の玄関を上ると、暗い廊下からたゞよつて来るその不思議な匂を直ぐに感じた。
そして、彼女が始終伽羅を焚いてゐると云ふ話を前に聞いたことがあつたので、成る程、これがその匂かと気が付いた次第であつた。
(これは余談であるが、伽羅の匂と云ふものは、あの伽羅蕗を煮る時の匂に何処か似てゐるやうな気がする。