岡本さんも金子さんも折柄の月と鐘の音に興を催して頻りに此のあたりの風光を讃へ、「嵐山は俗でいけない、景色は宇治に限る」と云ふのであつた。
たゞ惜しむらくは宇治電が水力電気の工事を施して対岸の山にコンクリートの壁を突き通してゐた。
(今日此のコンクリートの壁は、巧い工合に木を繁らして一寸分らないやうにしてあるが、あの工事が出来たての頃にはそれが丸見えだつた)さてその明くる日の夕刻、われ/\は酒と肴を積んで宇治川を中書島まで舟で下つた。
岡本さんも金子さんも折柄の月と鐘の音に興を催して頻りに此のあたりの風光を讃へ、「嵐山は俗でいけない、景色は宇治に限る」と云ふのであつた。
たゞ惜しむらくは宇治電が水力電気の工事を施して対岸の山にコンクリートの壁を突き通してゐた。
(今日此のコンクリートの壁は、巧い工合に木を繁らして一寸分らないやうにしてあるが、あの工事が出来たての頃にはそれが丸見えだつた)さてその明くる日の夕刻、われ/\は酒と肴を積んで宇治川を中書島まで舟で下つた。