もうその時分われ/\は骨の髄まで茶屋酒に入り浸つて、体も心もだらけ切つてゐたので、とても御神輿を上げる気力がなかつた。
そしてしまひには至る所に借金が出来、這ふ/\の体で東京へ逃げ帰つたものだが、その際にも御礼状一つ差し上げなかつたのは、差し上げるのを忘れたのではなく、今更手紙の書きやうもなかつたからだつた。
此のわれ/\の不作法極まる仕打ちには、いかに温厚の長者たる先生も呆れ返られ、不快を感ぜられたであらう、われ/\を当て付けられたのかどうか知れないが、「此の頃の若い連中は遊ぶのにも背水の陣を敷くから偉いよ」と、さる人にさう云つてをられたと云ふ。