「瀧口入道」は平家物語の一節を焼き直して文章までも剽窃したもの、「釈迦」も同じくお経の文句をそのまゝ仮名交り文に引き伸ばしたやうなもの、「美的生活」はニイチエを読みかじつてニイチエの深みもなく、浅薄な議論をしたもの、その他、何一つとして独創性の認められるものはないではないか。
彼の書く物が幼稚だつたのは時代のせゐで仕方がないとしても、真に傑れた評論家であるなら、幼稚な中にも何か後人を首肯せしめるものがなければならないが、何処にもそんなものは見出だされない。
たゞ、肺病で涙脆い青年の書いた一種の美文と云ふに止まる。