そのくせ、あれで案外俗才があり、世渡りが巧かつたやうな所もあるので、尚イヤになる)―――兎に角、あの時代は安価なる感傷主義の跋扈した時代であつて、あれを一掃してくれたのは、何と云つても自然主義の功績であつた。
されば、中学時代には近松の心中物などを耽読したわれ/\も、いつか欧米のデケーデンスの文学に親しむやうになり、感傷主義を受け入れるやうな甘さは持つてゐなかつた。
「恋か、死か、然らざれば狂か」などゝ樗牛は絶叫したものだが、われ/\の時代になると、死や狂を謳歌するよりも、寧ろ恐れた。
そのくせ、あれで案外俗才があり、世渡りが巧かつたやうな所もあるので、尚イヤになる)―――兎に角、あの時代は安価なる感傷主義の跋扈した時代であつて、あれを一掃してくれたのは、何と云つても自然主義の功績であつた。
されば、中学時代には近松の心中物などを耽読したわれ/\も、いつか欧米のデケーデンスの文学に親しむやうになり、感傷主義を受け入れるやうな甘さは持つてゐなかつた。
「恋か、死か、然らざれば狂か」などゝ樗牛は絶叫したものだが、われ/\の時代になると、死や狂を謳歌するよりも、寧ろ恐れた。