それで京都へ着くと間もなく連日連夜の遊蕩三昧が始まつたのであるが、神経病と云ふものは一度癖がつくと、直つたやうでも中々直り切らないものなので、不摂生な飲酒生活が悪影響を及ぼしたらしく、又あのいやな病気が知らず識らず萌して来たのである。
それは、いつからと云ふはつきりした記憶はないが、「日記」にも書いてあるやうに、体が非常にくたびれることが始まりであつた。
前の発病時代にも疲労したことはしたけれども、あの時はコチコチに痩せてゐたから、肉体的にはそれ程でもなかつたのだが、今度はもうあの時と違つて、見るから大儀さうにぶく/\に太つてゐたのである。