なぜかと云つて、つい二三年前までは十一二貫の鉄火箸のやうな体だつたのが、ちよつとの間に十七八貫に膨れ上り、まだ/\膨れて行きさうなのである。
身長五尺二寸と云ふ小兵の上に骨細の私がそんな目方になつたのだから、腕にも、脚にも、鼻の頭にも、頬ツぺたにも贅肉が垂れ下り、指の附け根や臀の上には赤ん坊のやうなゑくぼが出来、腹がだん/\セリ出して風船玉のやうにふくらんで来る。
そこへ持つて来て、五月から六月と云ふ蒸し暑い季節のことであるから、腋の下や頸すぢや股の間が脂汗でジクジクして、赤く爛れるので、天華粉を塗らなければ股擦れがして歩かれない。