そこへ持つて来て、五月から六月と云ふ蒸し暑い季節のことであるから、腋の下や頸すぢや股の間が脂汗でジクジクして、赤く爛れるので、天華粉を塗らなければ股擦れがして歩かれない。
私は、午後の日盛りに、幹彦君と連れ立つて知恩院の石段を喘ぎ/\上つた苦しさを今も想ひ出す。
あんな僅かな、勾配のなだらかな段々だけれども、あの時の私には実に苦しかつたのである。
そこへ持つて来て、五月から六月と云ふ蒸し暑い季節のことであるから、腋の下や頸すぢや股の間が脂汗でジクジクして、赤く爛れるので、天華粉を塗らなければ股擦れがして歩かれない。
私は、午後の日盛りに、幹彦君と連れ立つて知恩院の石段を喘ぎ/\上つた苦しさを今も想ひ出す。
あんな僅かな、勾配のなだらかな段々だけれども、あの時の私には実に苦しかつたのである。