奈良を一日歩いた時にも、あの春日野の芝生の緑があまりキラキラ反射するので軽い眩暈を覚えながら、どうも変だぞ眼に快い筈の芝生の色を正視することが出来ないなんて、これは病気が再発するんぢやないのかなと、ぼんやりそんな風に感じた。
それに、関西は東京に比べると土の色が白いものだから、光線の照り返しが非常にチカチカするのである。
四月の末に上方へ来た私は、最初はさうも思はなかつたが、若葉の時候に奈良なんぞを歩いてみると、上野公園などゝは違つて、木の色でも地面の色でも、とても色彩が毒々しく、まるで塗りたてのペンキのやうにギラギラしてゐる。