一年志願をするならするで願書を出さなければならないが、放つておいたら期限に後れる、いゝ加減に帰つて来たらどうだと、苦労性な親父は私のずべらを知つてゐるのでセツセツ催促する。
さあ、それが、帰りたいのは山々なんだが、汽車に乗れない訳があるんで、………と、さう云つたつて親父に分る筈がないから、何とか彼とか出鱈目な返事をやつては、一日延ばしに延ばしてゐる。
さうしてゐるうちには、フイと汽車に乗れるやうになるかも知れないと、それを頼みにしてゐるのだが、その実さう云ふ望みはだん/\薄くなるばかりであつた。