そして考へれば考へる程、事件の廻り合はせが自分をそこへ陥れるやうに、宿命的に仕組まれてゐる感じがした。
かうしてぐづ/\してゐるうちに愈〻期限が迫つて来る、泣いても笑つても帰らなければならなくなる、その汽車の中で自分はヤラレる、東京へ着く迄に死ぬ、さう云ふ風に運命の罠が作られてゐるので、それを逃れることは不可能だ、自分はみす/\設けられた罠に落ちなければならぬ。
―――こゝで一寸説明しておくが、私の発作と云ふのは「死の恐怖感」であつて、「死」と死の恐怖感とは別物であるけれども、しかし恐怖感が極端に募れば生理的に「死」が来ないとは限らない、それが非常に恐いのであつた。