―――と、記者は記者なりに分別をきめて、もう三本目の敷島を吹かしながら、庭の様子を一と通り窺った後、又ジロジロと部屋の中を見廻し始めた時である、みしり、みしりと、老人のような重い足音が廊下に響いて、次には「えへん」と云う咳拂いがして、漸く蘿洞先生が這入って来たのは。
「成る程、此れは噂に聞いた通り、餘程気むずかしい人だな。
記者は急いで吸いかけの煙草を灰皿に入れ、椅子から身を起し、「気を付け」のような姿勢を取って先生に敬意を表しながら、直覚的にそう感じた。
―――と、記者は記者なりに分別をきめて、もう三本目の敷島を吹かしながら、庭の様子を一と通り窺った後、又ジロジロと部屋の中を見廻し始めた時である、みしり、みしりと、老人のような重い足音が廊下に響いて、次には「えへん」と云う咳拂いがして、漸く蘿洞先生が這入って来たのは。
「成る程、此れは噂に聞いた通り、餘程気むずかしい人だな。
記者は急いで吸いかけの煙草を灰皿に入れ、椅子から身を起し、「気を付け」のような姿勢を取って先生に敬意を表しながら、直覚的にそう感じた。