相手が片々たる雑誌記者だと侮ったのかも知れないが、何にしてもこの物臭い風つきは小ざっぱりした部屋の空気に調和しないばかりでなく、蘿洞先生の威厳を損ずる。
せめて襟だけでもちゃんと掻き合わせていればいゝのに、それがだらしなく弛んでいて、頸の周りから胸板の方まで露われているのは、不精ッたらしくて感心されない。
その胸板を見たついでに、記者は先生の圓々と肥えた体つきにも注意したが、肥えてはいるものゝ、事実は顔と同じようにむくんでいるのか、さもなければ脂肪太りに太っているので、健康な肥え方ではないようである。