まあ成るべくなら下らない質問はやめて貰って、早く帰って貰いたそうだが、時々わざと聞えよがしにほっと溜息をつくばかりで、断然「帰ってくれ」とは云わない。
気の弱い人が保険会社の勧誘員に掴まったように、向うが退却しない限りは此方も根気よく生返事を繰り返しながら、一日でも二日でも堪えていようと云う風である。
「誠に恐れ入りますが、では先生の日常の御生活、―――たとえば朝は何時にお眼覚めで、夜は何時にお休みになるとか、主にお仕事をなさいますのは何時頃であるとか、云うようなことでも伺わせて戴きましょうか。