小女は楊枝を使ってしまうと、金盥へ水を取って、タオルでぞんざいに顔を洗ったが、それなり台所の方へは行かずに、すた/\と此方へ歩いて来て、裏庭へ降りるドーアを開けて、紅い鼻緒のぴたんこな下駄を石の階段の上へ脱ぎ捨て、ついと書斎の中へ這入った。
記者が覗いている生垣の前を通ったのはほんの僅かな間だったから、勿論よくは分らなかったが、しかし女中が、今頃起きて歯を研くのはどうも可笑しい。
それに勝手口が向うにあるのに、寝間着であの部屋へ這入ると云うのがちょっと奇妙だ。
小女は楊枝を使ってしまうと、金盥へ水を取って、タオルでぞんざいに顔を洗ったが、それなり台所の方へは行かずに、すた/\と此方へ歩いて来て、裏庭へ降りるドーアを開けて、紅い鼻緒のぴたんこな下駄を石の階段の上へ脱ぎ捨て、ついと書斎の中へ這入った。
記者が覗いている生垣の前を通ったのはほんの僅かな間だったから、勿論よくは分らなかったが、しかし女中が、今頃起きて歯を研くのはどうも可笑しい。
それに勝手口が向うにあるのに、寝間着であの部屋へ這入ると云うのがちょっと奇妙だ。