そのくらいだから、勿論庄造の猫好きを承知の上で来たのであるし、それから此方、庄造ほど極端ではないにしても、自分も彼と一緒になってリリーを可愛がっていたのである。
現にこうして、三度々々の食事には、夫婦さし向いのチャブ台の間へ必ずリリーが割り込むのを、今迄兎や角云ったことは一度もなかった。
それどころか、いつでも今日のような風に、夕飯の時にはリリーとゆっくり戯れながら晩酌を楽しむのであるが、亭主と猫とが演出するサーカスの曲芸にも似た珍風景を、福子とても面白そうに眺めているばかりか、時には自分も餌を投げてやったり跳び着かせたりするくらいで、リリーの介在することが、新婚の二人を一層仲好く結び着け、食卓の空気を明朗化する効能はあっても、邪魔になってはいない筈だった。