彼女はもっと温かい脂ッこいものが好きなので、こんな冷めたいモソモソしたものを食べさせられては悲しくなると、彼女らしい贅沢を云うと、庄造は又、お前はお前で好きなものを拵えたらよい。
僕は小鰺が食べたいから自分で料理すると云って、「取れ取れ」が通ると勝手に呼び込んで買うのである。
福子は庄造と従兄弟同士で、嫁に来た事情が事情だから、姑には気がねが要らなかったし、来た明くる日から我が儘一杯に振舞っていたけれど、まさか亭主が庖丁を持つのを見ている訳に行かないから、結局自分がその二杯酢を拵えて、いやいやながら一緒にたべることになってしまう。