品子の腹は、こう云う風に書いてやったら、結局福子はリリーのいることが心配になって、此方へ寄越すかも知れない、そうなったら、それ見たことか、人を笑ったお前さんも猫に焼餅を焼くじゃないか、やっぱりお前さんだってそう御亭主に大事にされてもいないのだねえと、手を叩いて嘲ってやろう、そこまで巧く行かないとしても、この手紙をキッカケに家庭に風波が起るとしたら、それだけでも面白いと、そう思っているに違いないので、その鼻を明かしてやるのには、いよいよ夫婦が仲好く暮すようにして、こんな手紙などてんで問題にならなかったと云う所を見せてやり、二人が同じようにリリーを可愛がって、とても手放す気がないことをもっとハッキリ知らしてやる、―――もうそれに越したことはないのであった。
だが、生憎なことにこの手紙の来た時期が悪かった。
と云うのは、ちょうどこの二三日小鰺の二杯酢の一件が福子の胸につかえていて、一遍亭主を取っちめてやろうと考えていた矢先だったのである。