と云うのは、ちょうどこの二三日小鰺の二杯酢の一件が福子の胸につかえていて、一遍亭主を取っちめてやろうと考えていた矢先だったのである。
一体、彼女は庄造が思っているほど猫好きではないのだが、庄造の気持を迎えるためと、品子への面当てと、両方の必要から自然猫好きになってしまい、自分もそう思えば人にも思わせていたのであって、それは彼女がまだこの家へ乗り込まない時分、蔭で姑のおりんなどとグルになって専ら品子の追い出し策にかかっている間のことだった。
そんな次第で、此処へ来てからもリリーを可愛がってやって、精々猫好きで通していたのだが、だんだん彼女はその一匹の小さい獣の存在を、呪わしく思うようになった。