「そやさかいにな、兎に角ここのとこはあの娘の気持済むように、一遍すうッと品子の方へ遣ってしまいイな。
そないしといて、ええ折を見て、機嫌直った時分に取り戻すこと出来んもんかいな。
そんな、渡してしまったものを先方が返す筈もなし、受け取る筋でもないことは分っていながら、庄造が母親に甘えるように、母親も見え透いた気休めを云って、子供を賺すような風に庄造をあやなす癖があった。
「そやさかいにな、兎に角ここのとこはあの娘の気持済むように、一遍すうッと品子の方へ遣ってしまいイな。
そないしといて、ええ折を見て、機嫌直った時分に取り戻すこと出来んもんかいな。
そんな、渡してしまったものを先方が返す筈もなし、受け取る筋でもないことは分っていながら、庄造が母親に甘えるように、母親も見え透いた気休めを云って、子供を賺すような風に庄造をあやなす癖があった。