家出をしたことも二度ぐらいあって、神戸の新聞に素ッ葉抜かれたりしたものだから、縁付けようと思っても中々貰い手がなかったし、自分も窮屈な家庭などへは行きたくない。
そんなこんなで、何とか早く身を固めさせなければと、父親が焦っている事情に眼を付けたのがおりんであった。
福子は自分の娘のようなもので、気心はよく分っているから、アラがあることは差支えない、品行の悪いのは困るけれども、もうそろそろ分別が出てもいい歳だから、亭主を持ったらまさか浮気をすることもあるまい、それにそんなことは大した問題でないと云うのは、この娘にはあの国道の家作が二軒附いていて、そこから上る家賃が六十三円になる。