福子は自分の娘のようなもので、気心はよく分っているから、アラがあることは差支えない、品行の悪いのは困るけれども、もうそろそろ分別が出てもいい歳だから、亭主を持ったらまさか浮気をすることもあるまい、それにそんなことは大した問題でないと云うのは、この娘にはあの国道の家作が二軒附いていて、そこから上る家賃が六十三円になる。
おりんの計算だと、父親がそれを福子の名義に直したのが二年も前のことであるから、その積立が元金だけでも一千五百十二円ある、それだけのものは持参金として持って来る上に、月々今の六十三円が這入るとすると、それらを銀行へ預けておいたら、十年もすれば一と財産出来るので、これが何よりの附けめであった。
尤も彼女は老い先の短かい体であるから慾張ったところで仕方がないが、甲斐性のない庄造がこの先どうして凌いで行くつもりか、それを考えると安心して死んで行けないのであった。