おりんの計算だと、父親がそれを福子の名義に直したのが二年も前のことであるから、その積立が元金だけでも一千五百十二円ある、それだけのものは持参金として持って来る上に、月々今の六十三円が這入るとすると、それらを銀行へ預けておいたら、十年もすれば一と財産出来るので、これが何よりの附けめであった。
尤も彼女は老い先の短かい体であるから慾張ったところで仕方がないが、甲斐性のない庄造がこの先どうして凌いで行くつもりか、それを考えると安心して死んで行けないのであった。
何しろ蘆屋の旧国道は、阪急の方が開けたり新国道が出来たりしてから、年々さびれつつあるので、こんなところでいつ迄荒物屋渡世をしていても思わしい訳はないのだけれど、動くにはこの店を売り退かなければならないし、さて売り退いても何処で何を始めようと云う成算がない。