庄造は、国道のバスの停留所まで送って行きたかったのであるが、今日から当分の間、風呂へ行く以外は一歩も外出してはならぬと、女房から堅く止められているので、バスケットを提げた塚本が出て行ったあと、気抜けがしたようにぽつねんと店にすわっていた。
福子が外出を禁じた訳は、リリーの様子を気遣う余りついふらふらと品子の家の近所ぐらいまで行くかも知れないからであったが、事実庄造自身にも、そう云う懸念がないことはなかった。
そしてこの迂濶な夫婦は、猫を渡してしまってから、始めて品子のほんとうの腹が分りかけて来たのである。