或る時などは店のカーテンに跳び着いて、天井の方までクルクルと這い上って、端から端へ渡って行って、又カーテンに掴まって降りて来る、―――そんな動作を水車のように繰り返した。
それに、そう云う幼い時から非常に表情が鮮やかで、眼や、口元や、小鼻の運動や、息づかいなどで心持の変化をあらわすことは、人間と少しも違わなかった。
就中そのぱっちりした大きな眼球は、いつも生き生きとよく動いて、甘える時、いたずらをする時、物に狙いを付ける時、どんな時でも愛くるしさを失わなかったが、一番可笑しいのは怒る時で、小さい体をしている癖に、やはり猫なみに背を円くして毛を逆立て、尻尾をピンと跳ね上げながら、脚を蹈ん張ってぐっと睨まえる恰好と云ったら、子供が大人の真似をしているようで、誰でもほほ笑んでしまうのであった。