あの、押入の奥のサイダの函から首を出して術なさそうに見ていた時、―――あの時から彼女の眼差に哀愁の影が宿り始めて、そののち老衰が加わるほどだんだん濃くなって来たのである。
それで庄造は、ときどきリリーの眼を視詰めながら、悧巧だと云っても小さい獣に過ぎないものが、どうしてこんな意味ありげな眼をしているのか、何かほんとうに悲しいことを考えているのだろうかと、思う折があった。
前に飼っていた三毛だのクロだのは、もっと馬鹿だったせいかも知れぬが、こんな悲しい眼をしたことは一度もない。
あの、押入の奥のサイダの函から首を出して術なさそうに見ていた時、―――あの時から彼女の眼差に哀愁の影が宿り始めて、そののち老衰が加わるほどだんだん濃くなって来たのである。
それで庄造は、ときどきリリーの眼を視詰めながら、悧巧だと云っても小さい獣に過ぎないものが、どうしてこんな意味ありげな眼をしているのか、何かほんとうに悲しいことを考えているのだろうかと、思う折があった。
前に飼っていた三毛だのクロだのは、もっと馬鹿だったせいかも知れぬが、こんな悲しい眼をしたことは一度もない。