と呼んでみたけれども、彼女の方へはチラリとそっけない流眄を与えたきりで、先ず出入口と押入の閾際へ行って匂を嗅いで見、次ぎには窓の所へ行ってガラス障子を一枚ずつ嗅いで見、針箱、座布団、物差、縫いかけの衣類など、その辺にあるものを一々丹念に嗅いで廻った。
品子はさっき、鶏肉の新聞包を預かったことを思い出して、その包のまま通り路へ置いてみたけれども、それには興味を感じないらしく、ちょっと嗅いただけで、振り向きもしない。
そして、バサリ、バサリ、………と、畳の上に無気味な足音をさせながら、一と通り室内捜索をしてしまうと、もう一遍出入口の襖の前へ戻って来て、前脚をかけて開けようとするので、