と、そう云ってそこに立ち塞がると、又仕方なくバサリ、バサリと歩き廻って、今度は北側の窓際へ行き、恰好な所に置いてあった小裂箱の上に上って、背伸びをしながらガラス障子の外を眺めた。
九月も昨日でおしまいになって、もうほんとうの秋らしく晴れた朝であったが、少し寒いくらいの風が立って、裏の空地に聳えている五六本のポプラーの葉が白くチラチラ顫えている向うに、摩耶山と六甲の頂が見える。
人家がもっと建て込んでいる蘆屋の二階の景色とは、大分様子が違うのだけれども、リリーはいったいどんな気持で見ているのだろうか。