そんな工合に、随分この猫には当り散らしたものだけれども、再びこうして一緒に暮すようになったのは、やっぱり因縁と云うのであろう。
品子は自分が蘆屋の家を追い出されて来て、始めてこの二階に落ち着いた時にも、あの北側の窓から山の方を眺めながら、夫恋いしさの思いに駈られたことがあるので、今のリリーがああして外を見ている心持もぼんやり分るような気がして、ふと眼頭が熱くなって来るのであった。
「リリーや、さ、此方へ来て、これ食べなさい。
そんな工合に、随分この猫には当り散らしたものだけれども、再びこうして一緒に暮すようになったのは、やっぱり因縁と云うのであろう。
品子は自分が蘆屋の家を追い出されて来て、始めてこの二階に落ち着いた時にも、あの北側の窓から山の方を眺めながら、夫恋いしさの思いに駈られたことがあるので、今のリリーがああして外を見ている心持もぼんやり分るような気がして、ふと眼頭が熱くなって来るのであった。
「リリーや、さ、此方へ来て、これ食べなさい。