彼女は昨日塚本の端書を受け取ったので、いよいよ此処へ連れて来られる珍客を欵待するために、今朝はいつもより早起きをして、牧場から牛乳を買って来るやら、皿やお椀を揃えておくやら、―――この珍客にはフンシが必要だと気が付いて、昨夜慌てて炮烙を買いに行ったのはいいが、砂がないのには困ってしまって、五六丁先の普請場から、コンクリートに使う砂を闇にまぎれて盗んで来るやらして、そんなものまで押入の中にこっそり忍ばせて置いたのである。
で、その牛乳と、花鰹節をふりかけた御飯のお皿と、剥げちょろけの、縁のかけたお椀を取り出すと、罎の牛乳をお椀へ移して、部屋のまん中へ新聞紙をひろげた。
それからお土産の包を開いて、水煮きにしてある鶏の肉を、筍の皮ぐるみそれらの御馳走と一緒に並べた。