そんな風にして、その日は一日猫のことにかまけて、請け合った仕事も出来ないままに秋の夜長が更けてしまった。
十一時が鳴ると、品子は部屋を片づけてから、もう一度リリーを縛って、座布団を二枚も敷いた上へ臥かして、御飯と便器とを身近な所へ並べてやった。
それから自分の寝床を伸べ、あかりを消して眠りに就いたが、せめて朝になるまでには、牛乳でも鶏でも何でもいいから、孰れか一つぐらい食べていてくれないだろうか、明日の朝眼を開いた時あのお皿が空になっていてくれたら、そうしてフンシが濡れていてくれたら、どんなに嬉しいであろうなどと思うと、眼が冴えて来て寝られないままに、リリーの寝息が聞えるか知らんと闇の中で耳を澄ますと、しーんと水を打ったようで、微かな音もしていない。