と、座布団の上へ抱いて来てやって、大急ぎであかりを消して、やっと彼女は自分の寝床へ這入ったのであったが、それから一分とたたないうちに、忽ちすうッと枕の近くにあの日向臭い匂がして来て、掛け布団をもくもく持ち上げながら、天鵞絨のような柔かい毛の物体が這入って来た。
と、ぐいぐい頭からもぐり込んで、脚の方へ降りて行って、裾のあたりを暫くの間うろうろしてから、又上の方へ上って来て、寝間着のふところへ首を入れたなり動かないようになってしまったが、やがてさも気持の好さそうな、非常に大きな音を立てて咽喉をゴロゴロ鳴らし始めた。
そう云えば以前、庄造の寝床の中でこんな工合にゴロゴロ云うのを、いつも隣で聞かされながら云い知れぬ嫉妬を覚えたものだが、今夜は特別にそのゴロゴロが大きな声に聞えるのは、よっぽど上機嫌なのであろうか、それとも自分の寝床の中だと、こう云う風にひびくのであろうか。