そう云えば以前、庄造の寝床の中でこんな工合にゴロゴロ云うのを、いつも隣で聞かされながら云い知れぬ嫉妬を覚えたものだが、今夜は特別にそのゴロゴロが大きな声に聞えるのは、よっぽど上機嫌なのであろうか、それとも自分の寝床の中だと、こう云う風にひびくのであろうか。
彼女はリリーの冷めたく濡れた鼻のあたまと、へんにぷよぷよした蹠の肉とを胸の上に感じると、全く初めての出来事なので、奇妙のような、嬉しいような心地がして、真っ暗な中で手さぐりしながら頸のあたりを撫でてやった。
するとリリーは一層大きくゴロゴロ云い出して、ときどき、突然人差指の先へ、きゅッと噛み着いて歯型を附けるのであったが、まだそんなことをされた経験のない彼女にも、それが異常な興奮と喜びの余りのしぐさであることが分るのであった。