するとリリーは一層大きくゴロゴロ云い出して、ときどき、突然人差指の先へ、きゅッと噛み着いて歯型を附けるのであったが、まだそんなことをされた経験のない彼女にも、それが異常な興奮と喜びの余りのしぐさであることが分るのであった。
その明くる日から、リリーはすっかり品子と仲好しになってしまって、心から信頼している様子が見え、もう牛乳でも、花鰹節の御飯でも、何でもおいしそうに食べた。
そしてフンシの砂の中へ日に幾度か排泄物を落すので、いつもその匂が四畳半の部屋の中へむうッと籠るようになったが、彼女はそれを嗅いでいると、いろいろな記憶が思いがけなくよみがえって、蘆屋時代のなつかしい日が戻って来たように感ずるのであった。