それに、品子は、庄造のことをたよりない人とは思うけれども、どう云うものか憎むことが出来なかった。
あんな工合に、何の分別もなくふらふらしていて、周りの人達が右と云えば右を向き、左と云えば左を向くと云う風だから、今度にしてもあの連中のいいようにされているのであろうが、それを考えると、子供を一人歩きさせているような、心許ない、可哀そうな感じがするのである。
そしてもともと、そう云う点にへんな可愛気のある人なので、一人前の男と思えば腹が立つこともあったけれども、幾らか自分より下に見下して扱うと、妙にあたりの柔かい、優しい肌合があるものだから、だんだんそれに絆されて抜きさしがならないようになり、持って来た物までみんな注ぎ込んで、裸にされて放り出されてしまったのだが、彼女としてはそんなにまでして尽してやったと云うところに、尚更未練が残るのである。