好いあんばいにお針が達者だったから、近所の仕事を貰って来ては夜の眼も寝ずに縫い物をして、どうやら凌ぎをつけていたので、彼女の働きがなかったら、母親なぞがいくら威張ってもどうにもなりはしなかったではないか。
おりんは土地での嫌われ者、庄造はあの通りでさっぱり信用がなかったから、諸払いの滞りなどもやかましく催促されたものだが、彼女への同情があったればこそ節季が越せて行ったのではないか。
それだのにあの恩知らずの親子が、慾に眼がくれてああ云う者を引ずり込んで、牛を馬に乗り換えた気でいるけれども、まあ見ているがいい、あの女にあの家の切り盛りが出来るかどうか、持参金附きは結構だけれど、なまじそんなものがあったら、一層嫁の気随気儘が募るであろうし、庄造もそれをアテにして怠けるであろうし、結局親子三人の思わくが皆それぞれに外れて来るところから、争いの種が尽きないであろう。