そう云えば昔、庄造がこの猫の世話を決して他人の手に委ねず、毎日食事の心配をし、二三日置きにフンシの砂を海岸まで取り換えに行き、暇があると蚤を取ってやったりブラシをかけてやったりし、鼻が乾いていはしないか、便が軟か過ぎはしないか、毛が脱けはしないかと始終気をつけて、少しでも異状があれば薬を与えると云う風に、まめまめしく尽してやるのを見て、あの怠け者によくあんな面倒が見られることよと、ますます反感を募らしたものだが、あの庄造のしたことを今は自分がしているではないか。
而も彼女は、自分の家に住んでいるのではないのである。
自分の食べるだけのものは、自分で儲けて妹夫婦へ払い込むと云う条件だから、まるきりの居候ではないが、何かと気が置ける中にいて、この猫を飼っているのである。