と云ってみたりして、ひとりでに涙が湧いて来ると、夜更けの、真っ暗な部屋の中で、リリーより外には誰に見られる訳でもないのに、慌てて掛け布団をすっぽり被ってしまうのであった。
福子が午後の四時過ぎに、今津の実家へ行って来ると云って出かけてしまうと、それまで奥の縁側で蘭の鉢をいじくっていた庄造は、待ち構えていたように立ち上って、
「お母さん」
と云ってみたりして、ひとりでに涙が湧いて来ると、夜更けの、真っ暗な部屋の中で、リリーより外には誰に見られる訳でもないのに、慌てて掛け布団をすっぽり被ってしまうのであった。
福子が午後の四時過ぎに、今津の実家へ行って来ると云って出かけてしまうと、それまで奥の縁側で蘭の鉢をいじくっていた庄造は、待ち構えていたように立ち上って、
「お母さん」