いいあんばいに裏が空地になっているから、ポプラーの蔭か雑草の中にでも身を潜めて、リリーが外へ出て来るのを気長に待っているより外に手はないのだが、生憎なことに、こう暗くなってしまっては、出て来てくれても中々発見が困難であろう。
それにもうそろそろ初子の亭主が勤務先から帰って来るであろうし、晩飯の支度で勝手口の方が忙しくなるであろうから、そういつ迄も空巣狙いみたいにうろうろしている訳にも行かない。
とすると、もっと時間の早い時に出直す方がいいのだけれども、しかしリリーに会える会えないは二の次として、久し振に女房の眼を偸んで、彼方此方を乗り廻せると云うことだけでも、愉快でたまらないのであった。