そして一時は、もうそのことを考えないように、なるべく早くあきらめるように努めたことも事実だけれども、母や女房への不平が溜って、その鬱憤の遣り場がなくなって来るに従い、いつか再び強い憧れが頭を擡げて、抑えきれなくなったのであった。
全く、庄造の身になってみると、ああ云う厳しい足止めをされて、出るにも入るにも干渉を受けたのでは、却って恋いしさを焚き付けられるようなもので、忘れようにも忘れる暇がなかったのであるが、それにもう一つ気になったのは、あれきり塚本から何の報告もないことであった。
あんなに約束しておきながら、どうして何とも云って来てくれないのか。