元来庄造には彼一流の狡さがあって、いかにも気の弱い、他人の云うなり次第になる人間のように見られているのを、巧みに利用するのであるが、品子を追い出したのが矢張その手で、表面はおりんや福子に操られた形であるけれども、その実誰よりも彼が一番彼女を嫌っていたかも知れない。
そして庄造は、今考えても、いいことをした、いい気味だったと思うばかりで、不憫と云う感じは少しも起らないのであった。
現に品子は、電燈のともっている二階のガラス窓の中にいるのに違いないのだが、雑草のかげにつくばいながらじっとその灯を見上げていると、又してもあの、人を小馬鹿にしたような、賢女振った顔が眼先にちらついて、胸糞が悪くなって来る。