………あのガラス窓の中に、そう云う世界が繰りひろげられているとしたら、―――何か奇蹟的なことが起って、リリーと彼女とがすっかり仲好しになっていたとしたら、―――もしほんとうにそんな光景を見せられたら、焼餅を焼かずにいられるだろうか。
正直のところ、リリーが昔を忘れてしまって現状に満足していられても、矢張腹が立つであろうし、そうかと云って、虐待されていたり死んでいたりしたのでは尚悲しいし、孰方にしても気が晴れることはないのだから、いっそ何も聞かない方がいいかも知れない。
庄造は、途端に階下の柱時計が「ぼん、………」と、半を打つのを聞いた。