「もうちょうど一年ぐらい………いや、そうやないわ、あの時河鹿が啼いてたわ。
「そうや、もう一年半になるで。
それは二人が人目を忍ぶ仲になり出して間もない時分、或る日滝道の終点で落ち合い、神有電車で有馬へ行って、御所の坊の二階座敷で半日ばかり遊んで暮らしたことがあったが、涼しい渓川の音を聞きながら、ビールを飲んでは寝たり起きたりして過した、楽しかった夏の日のことを、二人ともはっきり思い出した。
「もうちょうど一年ぐらい………いや、そうやないわ、あの時河鹿が啼いてたわ。
「そうや、もう一年半になるで。
それは二人が人目を忍ぶ仲になり出して間もない時分、或る日滝道の終点で落ち合い、神有電車で有馬へ行って、御所の坊の二階座敷で半日ばかり遊んで暮らしたことがあったが、涼しい渓川の音を聞きながら、ビールを飲んでは寝たり起きたりして過した、楽しかった夏の日のことを、二人ともはっきり思い出した。